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対談 遠藤周作

1:さとみ :

2024/04/29 (Mon) 06:24:18

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https://bbs10.fc2.com//bbs/img/_493800/493722/full/493722_1714339458.jpg ※投稿が長くなるので、別投稿にさせていただきました。

「狐狸庵ぐうたら怠談」 その5

◆秘話

遠藤 しかし歌詞を忘れたりしないのは大したもんだ。

美空 いえ、忘れますよ。ずいぶん苦労したことあります。

遠藤 そういうときはどうするんですか。ごまかすの。

美空 でもお客様にきくと分からないんですって。「戦友の遺骨を抱いて」というのを歌ったときなんか、出だしの歌詞を忘れちゃったんです。自分の歌じゃないから余計にそうなっちゃったんでしょうけど。(手で拍子をとりながら)前奏がズンタッタ、ズンタッタって始まってるのに、舞台の袖にもどっていったんですね。引っ込んだりするとバレちゃうから、袖のところで「チョット、一番の歌詞、何だったっけ」って腹話術で言ってたら、うちの子たちが何を言ってるのか分からなかったのね。そのうちに「あっ、お嬢さんがノドかわいたらしいわよ」って水を取りに行っちゃった。誰もいなくなって、仕方ないからまたズンタッタ、ズンタッタってもどっていった。その間、バンドは延々とズンタッタ、ズンタッタ…どこまで続けてりゃいいんだろうって顔して。

遠藤 (笑って)それでもお客は分からないの。

美空 何か舞台のことでも注意しに行ったと思ってたらしいんです。私はときどき言いますから、マイクのボリュームを下げてとか上げてとか。……で、舞台の真ん中までもどってきて、胸の中では「なんだったかな一番の歌詞、一番の歌詞」って。そしたら、思い出したんです。これが私のすごく運のいいところなんですが、「一番、一番」て思ってたらちょうど歌詞が〽いちばん乗りを……(笑い)

遠藤 そういうとき、やはり逆上するでしょうなあ。

美空 さすがに私も汗かいていました。でもそうやってハッと思い出す時はいいんですけど、しょっちゅう歌ってる歌だと、間違えるわけないと自信を持ってますから困るんですねえ。いつだったか「港町十三番地」を、前奏チャンカチャンカチャン〽なーがい旅路の……と歌い出して、その後の「海の苦労をグラスの酒に」というところになったら、そこが分からなくなっちゃった。で、〽船の苦労をグラスの酒に……って、作って歌っちゃった。

遠藤 昔はなかったでしょう、そういうことは。この四、五年じゃないの。

美空 昔も一度だけありましたねえ。いまはミキサーが客席に入ってますけど、以前は舞台の袖でやっていたんです。私の合図を見ながら……。その当時、やっぱり歌詞を忘れたことがあります。それはもう全く忘れちゃって、声も出ないんです。で私、マイクのせいにしちゃった。口だけ音に合わせてパクパク動かして、怒った顔して、マイクの音が入ってないという合図をしたんです。舞台の袖をにらんで、口をパクパクして……。だからお客様は「あら、マイクが、マイクが」って、ミキサーのひとも慌てて、あっちこっちいじって……。その間に私は思い出して、突然声を出して歌い始めたの。そのときはさすがに私も威張らないで、あとでミキサーのひとに「ごめんね」って謝りましたけど。でもお客様は永久にマイクの故障だと信じてくだすってます。

遠藤 睡眠不足とか風邪をひいている時も声に影響はあるでしょう。

美空 風邪ひきの声は、話すとダメですけど歌うとごまかせるんです。

遠藤 それができるっていうのは大歌手なんだなあ。

美空 ノドがエヘンとなるのも、それをお客様にわからないようによけて置いて、歌の間奏にグッと呑みこむとか……。

遠藤 咳の場合も同じですね。

美空 そうです。クシャミも。

遠藤 大歌手を持続するっていうのは生理的にも苦痛だなあ。

(『夕刊フジ』 昭和59年5月12日付)

※投稿画像はイメージです。

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